放置空き家になるきっかけは?

不動産コンサルタントの菊池です。

昨日は、神戸市で相続税対策と不動産活用術についてのセミナー講師をやらせていただきました。
主に相続対策についてお話させていただきました。
相続税対策ではありません、相続対策です。
節税だけではなく、分割や納税についても対策を考えるのが相続対策です。

実は、相続と放置空き家には密接な関係があります。
相続時にうまく分割できず、争いが生じた場合、相続財産は相続人全員の共有として残ります。
売却したければ、相続人全員の同意が必要です。

私が土地の有効活用の営業をしていたとき、放置空き家の所有者を調査したことがあります。
数人の共有名義になっており、住所も遠方になっている方が多かったと思います。
結局、近所に共有者がいないようなので、隣の地主さんに聞いてみたら、もう数十年も放置されて迷惑しているとのことでした。

相続でもめたことをきっかけに、兄弟間の仲が悪くなり、売却することもなく、そのうち連絡も取りあわなくなる。
その後、共有者たちも亡くなり、その子供たちが相続する、その子供たちが無くなるとさらにその子供たちが相続する。
だんだん枝分かれしており、全員と連絡を取るのは難しくなってくるのです。

結局、この土地は私の調査では、12名の共有となることがわかりました。
登記も長年していませんので、実際に12名と連絡を取るのはさらに困難でした。

過疎地域の放置空き家については、売却しようにも買い手もいない状態なので、権利を主張する人も無く、このように所有者が増えてしまい、調査費用などを回収できる見込みが無くなっています。

時間が経過すればするほど放置空き家の解決は困難になるのです。
最初の相続が発生したとき、遺言状で誰か一人に相続させていれば結果はちがったかもしれません。

放置空き家を増やさないためには、相続対策が重要です。
相続税が課税されるほど資産を保有していなくても、どう分割するのかは決めておかなくてはなりません。

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