一度宅地化された土地は、農地とか山林とかに戻すことはできるのか?
以前から気になっています。
不要になった建物、空き家などの建物は、安全等のために解体する必要があります。
解体後の土地は、農地として利用するか、公園等にして利用し、緑地化することがよい方法だと私は考えています。
建物を解体後、宅地を緑地化して管理するしくみの整備が必要です。
宅地から農地への転換は可能か?
農地とする場合、いくつもの問題が考えられます。
まず、土の種類や質から、そのままでは利用できないということです。
農作物を育てるのであれば土はとても重要な要素です。
土の入れ替えは必要ですし、水の供給や水はけなどの問題もあります。
次に、費用の問題があります。
空き家の解体費用だけでなく、農地化するための土の入れ替え等、初期投資が必要になってしまいます。
仮に農地にしても、商品にできるような作物が育つかどうかの保障もありません。
費用対効果を考えると、空き家解体後の宅地を、農地として利用しようと考える人はいないでしょう。
宅地から農地への転換は、現実的な話ではないと言えます。
しかし、農業が儲かるビジネスとなってくれば、いずれは土地が必要になります。
未耕作地など、未利用地の活用が注目されるはずです。
今はまだ普及はしていないものの、植物工場という選択肢もあります。
いずれは、宅地を農地に転換し利用するビジネスが生まれ、技術の蓄積が行われると期待します。
空地を公園として利用
空き家を解体後、公園として整備するという方法があります。
しかし、これにもいくつか問題があります。
管理を考えると、行政主体で整備することが一般的です。
私有地であれば、行政に寄付をするとか、無償で貸し出すなどの権利関係の調整が必要です。
また、行政が費用を払ってまで、その土地を公園に整備する必要があるか、という問題があります。
行政が公園を整備するということは、税金を使うということです。
納税者が納得する理由が必要です。
近隣住民にとって役に立つ機能を持たせることが不可欠です。
空き家解体後、行政が公園を整備した事例では、防災倉庫を置き、災害時の避難場所とした例があります。
住宅密集地などでは、火災時の延焼を防ぐ効果も期待できます。
防災機能を持たせることが、公園整備の最大の理由になろうかと思います。
空き家解体後の問題
安全のために、空き家を解体しても、その後の空地をどう管理していくのか?
新たな問題が発生します。
人が管理していないと、木の枝や根は伸び、雑草が生い茂る土地になってしまいます。
空地としての放置は、防犯上、危険な場所となります。
ゴミの不法投棄や虫の発生など環境衛生上の問題も発生します。
近隣住民にとっては、状況は、空き家のときと何ら変わりません。
必ず人の手による適正な管理が必要です。
そこには費用がかかるということを忘れてはなりません。
危険な空き家を解体したあと、その土地をどのように利用するのか?
単に空き家を解体するだけではなく、その後までしっかりと考えておかなければなりません。
公認不動産コンサルティングマスター・宅地建物取引士
不動産投資、住宅購入のアドバイザーとして、個別相談、セミナーなどのサービスを提供している。2008年から空き家・留守宅管理のサイト「留守宅どっとネット」を運営。自ら空き家管理を実践する空き家管理人。
この記事へのコメントはありません。