猛暑の日々が続いています。
放置された空き家の庭には雑草が繁茂し、人の身長ほどになります。
放置空き家の所有者は、この状況を目にすることがなく、気にすることはほとんどありません。
しかし、近隣に住む人たちは、毎日、その荒れた景色を見て、不快な思いをしています。
目次
夏頃に増加する管理不全空家に対する相談
夏が近づくと、役所の窓口では、放置空き家の管理状態について、ご近所の方からの相談が増えます。
ご近所の方の心配事は主に次のようなことです。
・雑草が生い茂ることで虫が増えて困る
・不審者が空き家に侵入するのではないか不安
・ゴミなどの不法投棄が不安
・空き家への放火が不安
・植栽が越境してきて困っている
・空き家の植栽が道路まではみ出ていて危ない
相談者の中には、役所の担当者に強い口調で対応を迫る、勘違いした人もいます。
2013年に書いた記事でも役所担当者との接し方について触れましたが、役所に相談する際には話し方に注意が必要です。
『放置空き家・空き地の雑草、ご近所はどこに苦情を言えばいいのか?』
空き家所有者に苦情を言いたくても連絡先が分からないから、役所に相談するのです。
役所は苦情を言うべき相手ではありません。
以下に役所での相談手順、注意点を簡単にまとめましたので参考にしてください。
役所への相談手順
1.インターネットで担当窓口を調べる
2.担当窓口に要件を明確に伝える(空き家の正確な住所、状況を説明)
3.担当部署と担当者の名前、話した内容をメモしておく
4.後日、結果を報告してもらうようにお願いする
1.インターネットで担当窓口を調べる
各地方公共団体では、管理不全空家等に関する近隣住民からの相談窓口を設けています。
私の住む神戸市の場合、市民の相談窓口は市民に最も近い窓口である区役所としています。
そのほかの地方公共団体でも、住民の相談窓口として地域課とか地域振興課とかの名称の部署を設けているところが多いかと思います。
インターネットで地方公共団体のホームページを見て、市民の相談窓口はどの部署になるか確認しましょう。
その際、電話でも対応してくれるかどうかも確認しておきましょう。
検索する際には、『●●市 空き家 雑草』とか『●●市 空き家 雑草で困る』で検索するとヒットしやすいです。
2.担当窓口に要件を明確に伝える
担当窓口が確認できたら、相談に行くか、電話でも対応してくれるなら電話をします。
要件は短く、明確に伝えます。
担当者が困るのは、内容の無い感情的な話を延々とする人です。
何をどうしてほしいかなど要件が伝わりません。
まずは以下の例ように、所有者に連絡をとり対応を依頼してほしい、と目的と要望を明確に伝えます。自分がどんなに困っているかなど、自分の話はしなくてもよいです。
『●●にある空き家の雑草で困っています。所有者がわからないので役所から何らかの対応をするように伝えてほしいです。』
担当者も情報が欲しければ、必要な事項を質問してきます。
それ以外の余計な情報は不要です。
3.担当部署と担当者の名前、話した内容をメモしておく
いつ、何時ごろ、どこの部署の誰と、どいういう話をしたのか、必ずメモを残しましょう。
空き家の問題は簡単には解決せず、時間がかかることが一般的です。
メモを残しておかないと、いつ誰と話をしたのか忘れてしまいます。
あとでどうだったのか振り返る際に必要になるのでメモをすることと、そのためにメモ帳などを手元に準備して連絡をしましょう。
4.後日、結果を報告してもらうようにお願いする
相談を受け付けた後、相談窓口の担当者はその相談内容を、空き家対策の部署に引き継ぎます。
空き家所有者に連絡をするのは空き家対策の窓口であり、市民相談などの窓口ではありません。
実際にどんな対応をしていただいたのかを知るためには、結果を連絡してほしい旨、空き家対策の部署の担当者に伝えてもらうしかありません。
対応には時間がかかるうえに、結果を報告してくれることはあまり期待できません。
相談時に念押しをしておくべきです。
相談時の注意点
相談の際には、穏やかに話してください。
怒鳴ったり失礼な態度をとってはいけません。
空き家の管理不全は所有者の責任です。
役所の担当者は協力者です。
苦情を申し入れる対象ではありません。
穏やかに、明確に相談内容と目的を伝えることを心掛けてください。
私は、不動産調査の仕事で各地の役所に行くことが多いのですが、役所に行くと、窓口で大声で怒鳴っている人を時々見かけます。
本当に見苦しい。
感情的になって大声でわめいている人の後ろで待たされるのは本当に苦痛です。
一人で役所の窓口を長時間独占するのはやめてほしい、そう思います。
ひどい態度であっても担当者は嫌々ながら話を聞くことでしょう。
しかし、その人のために何とかしてあげよう、なんて思うでしょうか?
できたら関わりたくない、そう思うはずです。
結果的に協力者を失うことになります。
くれぐれも相談している立場であり、苦情を申し入れているわけではない、ということをお忘れなきように。
公認不動産コンサルティングマスター・宅地建物取引士
不動産投資、住宅購入のアドバイザーとして、個別相談、セミナーなどのサービスを提供している。2008年から空き家・留守宅管理のサイト「留守宅どっとネット」を運営。自ら空き家管理を実践する空き家管理人。
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