原野商法の二次被害が増加

国民生活センターによると、原野商法に関する詐欺が増加しているようです。
昨年、2013年には初めて相談件数が1000件を超えたそうです。

原野商法とは

原野商法とは、山奥の山林を、将来は値上がりするから今のうちに買っておいた方がいいですよ、と騙して売りつける詐欺行為です。今から数十年前に横行した詐欺行為で、その被害者はかなり多かったようです。実は、私の実家も北海道に山林100坪、値上がりどころか家も建たないような原野を所有しております。将来、どうやって処分したらよいのか、はっきり言ってお手上げです。
原野商法が最初に流行った頃、原野を購入した方たちは80歳を超えていると思われます。既に相続が発生していて、子供世代、50歳以上の方々が相続しているかと思われます。もしくは、親が原野を所有していたことも忘れ去られて、相続登記未登記の状態で放置されているかもしれません。
原野を所有している方たちは、死ぬ前になんとか処分したい、そう思っていることでしょう。容易に想像できます。まさに詐欺師たちのターゲット。詐欺師は、架空の売買話を持ちかけるのです。
何とかしたい、そう思っていたところに高値での売買話があれば話を聞いてしまうことでしょう。

原野商法に関する相談例

私のところにも、過去に3件ほど、原野商法で買わされた山林の処分についての相談がありました。
その相談事例によると、ある日、突然に営業の電話がかかってきたそうです。
「売れる可能性があるから、売るつもりがあるのであれば、先に測量だけでもしませんか」
売れる見込みがある、土地を買いたいという人がいる、という話を持ち込み、そのためには測量が必要だと、測量費を要求してくる例です。
私は、このような詐欺行為が横行していることは、数年前から知っておりました。
所有されている土地の住所をもとにネット上で調べたところ、明らかに売れる土地ではありませんでした。
詐欺だと確信しましたので、絶対に話しに乗らないようにお伝えしました。
一度あることは何度でもある。今後も何回か同様のことが起こると思うので、絶対に話に乗らないように注意を喚起いたしました。おそらく、原野商法で騙された人たちのリストが存在し、詐欺師たちの間に出回っていると思います。名簿屋にも、原野商法被害に遭った方のリストがあるはずです。

売買話が持ち上がった場合の対処法

もし仮に、不動産売買の話があるのであれば、測量よりも先に売買契約をします。
本当に買うかわからないのに、先に費用をかけられません。
測量費相当の金額を、手付金として払ってもらい、決済時には、実測面積に応じた金額で精算すればよいのです。契約書には精算価格として、1㎡もしくは1坪あたりの単価を定めておきます。
詐欺が横行していることを説明すれば、本当に買うつもりのある方は、協力してくれるはずです。
測量は先にやってほしい、手付金は払わないというのであれば、売買をお断りしましょう。
ただし、原野商法に騙されて購入した土地を買いたいと言う人はいないと思います。購入以来、数十年も買主が一人も現れなかったのに、急に現れるなんてことはありません。
本当にその土地が欲しいのなら、タダで引き取ると言うでしょう。よくて固定資産評価額程度ではないでしょうか。

原野商法で買わされた土地の処理方法

原野商法で買わされた土地を所有している場合、どうしたらよいのか?
基本的に、原野商法で買わされた土地は、売れない、そう思っておかなければなりません。
放置しておきましょう。
現地確認もしなくてよいです。
行ってもどこが対象地なのか素人にはわかりません。

将来の相続を考えて、ご家族には、騙されて買った土地だから、何の価値も無いと伝えておきましょう。
相続したお子さんたちが詐欺に遭う可能性もあるからです。
誰しも、目の前にお金がぶら下がった場合、判断能力が落ちます。
詐欺師のトークも、そういう心理を巧みに突いてきます。
くれぐれも親子二代で騙されないように、しっかりと伝えておきましょう。
相続が発生した場合、相続登記が義務化になるので、登記が発生します。今までは相続登記は義務付けられていなかったので、登記も放置できましたが、これからはそれができないことを覚悟してください。

宅地建物取引業の免許を持っているから安心とは限らない

先日、大阪市の不動産会社、株式会社未来コーポレーションの実質上の経営者など数名が起訴されました。最近の原野商法の二次被害は、この未来コーポレーションによる被害が多かったようです。
どうやら宅地建物取引業の免許を取得した会社だったようですが、免許は一定要件を満たせば取得できますので、それだけで信じることはできません。
未来コーポレーションのホームページもかなりしっかりとしたもので、騙すためにお金をかけたようにも見えます。
実績の無い会社でも、お金を出せば、大手企業並みのホームページは作れます。
実績が無い会社ほど、ホームページの見栄えにこだわる傾向もあるので要注意です。
日常業務がわかる写真が掲載されていない、社員の顔が出ていないことが多いのも特徴です。
実績が無いなら、載せる写真もないからです。

未来コーポレーションの場合、経営者の名前も顔も出ていません。
宅地建物取引業の免許を取得するためだけに、社員を表面上の社長にしていたのではないでしょうか。
実質的な社長は別にいたようです。
不動産会社ではよくある話です。

こういう詐欺行為をした人間は、いずれまた、別の場所でも詐欺を行います。
詐欺は無くなりません。
詐欺から身を守るための知識と知恵を身に着けておかなくてはなりません。

以下、和歌山放送ニュースから引用

ほとんど価値のない土地を高額で売りつける原野商法の被害者を受けた橋本市の女性に、さらに土地売却の話を持ちかけ、金をだまし取ったとして、奈良県警察本部はきょう(3日)、不動産会社元社員の男を詐欺の疑いで逮捕しました。
捕まったのは、大阪市中央区の「未来土地コーポレーション」の元社員で、大阪市生野区の松明秀(まつ・あきひで)容疑者24歳です。
警察によりますと、松容疑者は、去年(2013年)12月、橋本市の77歳の無職の女性から土地の調査名目であわせて36万7500円を騙し取った疑いです。
松容疑者は「未来土地コーポレーション」の社員で、大阪市住吉区の上田洋介(うえだ・ようすけ)容疑者36歳と共謀して、「中国の富裕層が日本の山林を買いあさっている。400万円から500万円で売れる。」などと土地の売却話を持ちかけ、買い手のつかない土地を抱える原野商法の被害者およそ1000人から4億円以上を集めていたとみられています。

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