長期間放置した空き家が高く売れない理由

年々、放置空き家の問題が大きく取り扱われるようになりました。
国が空き家対策に本腰を入れてきたこともその理由かもしれません。
国、地方自治体では、空き家を長期間放置させないための対策が日々検討されています。

放置期間が長い空き家ほど、その対応に困ります。
売却しようにも、高く売ることができません。
その主な理由を3つ挙げます。

1.建物の資産価値がすでに失われている

長期間放置された空き家は、建物の損傷がひどく、住むことができる状態ではないと言えます。
住める状態にするには、多額の修繕費用を負担することが必要になります。
建物の資産価値はすでに無いという状態です。

売却にあたっては、土地としての売買になり、空き家自体には値段がつきません。
逆に、長期間放置した空き家があることが資産価値を下げます。
土地の資産価値から空き家解体費用、門扉等の外構部分の解体費用、整地費用を差し引いた価格での取引になります。
その分、本来の土地自体の資産価値よりもかなり低めの価格で売却しなければならなくなります。

2.建物の情報が不透明である

長期間放置していた空き家が、建物として利用可能な状態だった場合でも、建物の状態を正確に把握できていなければなりません。
売却するには、買主に正確な情報を開示しなければならないからです。
所有者は、買主に建物の現状や、過去の建物の問題等を告知する必要があります。
長期間放置していたぐらいですから、正確な情報を開示できないことが多いはずです。

買主は何かあったときのリスクも考え、リスク相応の金額を売買金額から値引くように交渉してきます。
ホームインスペクションを行い、情報開示をしていくことで買主に安心感を与え、価格を維持する方法も考えられますが、実際にはそういう売り方をする人はまだまだ少ないようです。

取引相手が限られてしまう

不動産を高く売るためには、検討してくれる相手が多いほどよいと言えます。
長期間、放置された空き家の場合、購入を検討してくれる相手が不動産業者に限られてしまいます。
その空き家を利用すること、つまり実需で購入を検討する人がいないからです。

自ら住むことを考えているのであれば、すぐに入居できる建物を優先して検討するのが通常です。
多額の修繕費、もしくは解体費が必要な空き家の買い手は、開発を行う不動産業者なのです。
不動産業者は、購入後に建物や門扉、外構などを壊して整地し、住宅用地として転売します。
当然、解体費用等の経費と利益を計算したうえで、購入金額を決めるので、実需で購入する場合よりも、売買金額は大幅に下がります。

放置空き家であっても、購入して開発してくれる不動産業者がいるからこそ、新しい住宅が建ち、不動産が再生されると言えます。
投資しても利益が上がらないような条件の不動産では、投資して再生してくれる不動動産業者がいないため、放置空き家を民間の手で再生することは難しくなります。

最後に

物を売買するとき、その対象物の状態が取引価格を決めます。
家の場合も同様です。
家を空き家の状態で長期間放置すれば、その資産価値は大きく損なわれることになります。
何らかの理由で、所有する家を空き家にする場合、できるだけ早く処分するなどの対応を取るべきです。
すぐに売却できない理由がある場合には、適切な管理を、定期的に行うことで、資産価値を維持することができます。
単に放置することだけは、選択してはいけません。

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