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浄化槽とは?
浄化槽とは、家庭で排出される、汚水(し尿)と生活雑排水(台所・浴室・洗濯所・洗面所等からの排水)を微生物の働きによって処理し、放流するための設備です。
下水道の供用が開始されていない地域で使用されています。
浄化槽所有者の義務
あなたが所有する空き家は浄化槽を使用していませんか?
浄化槽は、放置することなく、適正に管理しなければなりません。
浄化槽法では、浄化槽の所有者に保守点検等を義務付けています。
- 保守点検(家庭用の小型合併処理浄化槽では4ヶ月に1回以上)
- 浄化槽の清掃(年1回以上の実施)
- 定期検査(毎年1回定期的に行う)
空き家であっても、法令に従い、浄化槽の保守点検、清掃、定期検査が必要です。
浄化槽法には罰則もありますので、放置することなく、しっかりと対応しておきましょう。
あなたが所有する空き家では、浄化槽をどうすればよいのでしょうか?
どう対応するかは、空き家でトイレ等を使用するのかどうか、使用の頻度等によります。
空き家で炊事、洗濯、入浴するという人は少ないと思いますので、トイレを使用するかどうかを基準に考えます。
空き家を年に数回訪れ、トイレ等も使用する(定期的に使用)
年に数回、空き家を訪れ、トイレ等を使用するのであれば、浄化槽法の保守点検義務があります。定住している場合と同様に保守点検、清掃、定期検査を行うことになります。
定住しておらず、通常は空き家になっていても、浄化槽の使用を休止もしくは廃止しないかぎりは、浄化槽法に定める保守点検、清掃、定期検査の義務があります。
空き家を訪れ、帰る際には空き家の電気をすべて切らないように注意します。
屋外には浄化槽に空気を送るポンプ、ブロワが置かれています。
ブロワの電源は絶対に切ってはいけません。
電源を切ると、浄化槽に空気(酸素)を送ることができず、浄化槽内の微生物が酸素不足で死滅してしまい、浄化できなくなります。
全体のブレーカーと、浄化槽のブロワが使用している屋外コンセントのブレーカーは落とさないように気をつけてください。
空き家のトイレ等を使用することはない(水道を使用停止)
浄化槽の使用の休止
水道を止め、トイレ等を使用することも一切ないのであれば、浄化槽清掃業者に依頼して浄化槽の清掃を行い、浄化槽の使用の休止を都道府県知事に届け出ます。
浄化槽の使用の休止を届け出れば、浄化槽法に定める保守点検、清掃、法定検査の義務が免除されます。
浄化槽の使用を再開する場合には、使用を再開した日から30日以内に、都道府県知事に届け出なければなりません。
浄化槽の使用の廃止
今後、浄化槽を一切使用しない、浄化槽を廃止する場合は、浄化槽の使用の廃止を都道府県知事に届け出ます。
浄化槽の使用を廃止した日から30日以内に、届け出なければなりません。
浄化槽の損傷が原因で特定空家等に指定されることもありえる
浄化槽の維持管理を適切に行わず放置した結果、浄化槽が損傷するなどトラブルが発生した場合、管理不全空家等または特定空家等に指定される可能性があります。
市町村が、管理不全空家等または特定空家等に指定するかどうかの判断基準として参考にしているガイドラインには浄化槽についての記載があります。
市町村担当者が立入検査を行う際、必ず浄化槽も確認するはずです。
空家等対策の推進に関する特別措置法が令和5年に改正される際にガイドラインは改訂されましたが、改訂前のガイドラインには、判断基準として浄化槽の状態の例が記載されていました。
現在のガイドラインは少し記載内容が変わっていますが、浄化槽のどういう状態が問題であるか、確認する内容は変わっていないはずです。参考までに以下に記載しておきます。
このような状態にならないように、浄化槽を適切に維持管理しなければなりません。
「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)別紙2※R5法改正以前のもの より抜粋
状態の例
・浄化槽等の放置、破損等による汚物の流出、臭気の発生があり、地域住民の日常生活に支障を及ぼしている。
最後に
空き家の浄化槽の扱いについては、浄化槽の保守点検業者に相談しましょう。
使用する場合には浄化槽保守点検業者と年間契約を締結し、お任せしておけばよいです。
保守点検業務、清掃業務、法定検査の年間スケジュールを組んで実施し報告してくれます。
もし、既に保守点検をお願いしている保守点検業者がいないのであれば、保守点検業者は登録制なので、浄化槽を所管する市町村などの窓口で登録業者を教えてもらえます。
私の経験では、空き家の所有者で浄化槽について正しく理解できている方は少ないです。
保守点検等の法的義務も、使用中止届や廃止届も出さずに、空き家の浄化槽を放置している方はかなり多いと思います。
あなたが所有する家屋で浄化槽を使用しているのであれば、浄化槽の適正な管理をお忘れなく。
公認不動産コンサルティングマスター・宅地建物取引士
不動産投資、住宅購入のアドバイザーとして、個別相談、セミナーなどのサービスを提供している。2008年から空き家・留守宅管理のサイト「留守宅どっとネット」を運営。自ら空き家管理を実践する空き家管理人。
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