空き家を売却する際の不動産業者への仲介手数料 令和6年7月1日以降

空き家を売却する際の経費を事前に把握する

空き家の維持管理にはコストがかかり、所有者の生活の負担になります。私は、空き家の管理を請け負う際に、使用しないのであれば、空き家を早期に売却することを勧めています。理由は単純で、古くなればなるほど、修繕費用が高くつき、ランニングコストが増えますし、空き家の資産価値は落ちていくばかりです。売れるなら早く売る方がよいです。(実際にはなかなか売れません)しかしながら、所有者の方はいろいろな不安をお持ちです。

「売るために何から手を付ければいいの?」
「誰に売却を頼めばいいの?」
「売るためにお金はいくら必要なの?」

次から次に不安や疑問が浮かぶはずです。不動産を売却した経験がある人はそう多くはありませんから当然です。
空き家を売却できる可能性があるとしたら、まずは必要となるお金がいくらになるのか、事前に必要経費を把握しておかなければなりません。
空き家売却の際に必要な経費のなかでも、確実に必要になり、大きな割合を占めるものが、不動産業者に支払う仲介手数料です。空き家を売却する際、通常は不動産業者に仲介を依頼することになります。不動産業者には、売却の際に仲介手数料という報酬を支払わなければなりません。不動産業者の報酬体系について知り、空き家を売却した金額により、仲介手数料がいくらになるのか、その計算方法を知っておきましょう。

不動産業者に支払う仲介手数料の制限

不動産業者の報酬(仲介手数料)については、宅地建物取引業法等による制限があります。報酬は成功報酬であり、報酬額の上限が決まっています。
成功報酬なので、売買が成立しないと、不動産業者は報酬を受け取ることができません。不動産業者が、どんなに一生懸命に時間を費やして売却活動を行っても、売買が成約しなければ報酬を受け取れません。また、成約しても受け取れる報酬額の上限が定めれています。報酬額の上限を超えて受取ることは法律違反になってしまいます。

不動産業者に支払う仲介手数料の計算方法

不動産業者の報酬の額は、宅地建物取引業法第46条に定めがあり、国土交通大臣の告示で定めた報酬額を超えて受け取ることができないとされています。国土交通大臣の告示に定める報酬額は下表のとおりです。取引額に対して、200万円以下、200万円超400万円以下、400万円超の三段階に分けて報酬額を計算します。

不動産業者が課税業者の場合
200万円以下の金額 100分の5.5
200万円を超え400万円以下の金額 100分の4.4
400万円を超える金額 100分の3.3

仲介手数料の計算例

空き家の売買金額が3000万円であった場合、仲介手数料の計算は以下のとおりとなります。

仲介手数料の計算例(空き家の売却額3000万円、仲介した不動産業者が課税業者の場合)
計算 仲介手数料(税込)
200万円以下の金額 200万円×5.5%=110,000円 110,000円
200万円を超え400万円以下の金額 200万円×4.4%=88,000円 88,000円
400万円を超える金額 2600万円×3.3%=858,000円 858,000円
報酬額合計 1,056,000円

上記のように、仲介手数料を計算する際には、三段階に分けて仲介手数料を計算し、合計した金額が仲介手数料となります。しかし、これだと計算がめんどうです。そこで一般的には下記の仲介手数料の速算式を使います。

【仲介手数料の速算式】
仲介手数料=売買価格×3.3%+66,000円
ただし、速算式で計算できるのは、売買価格が400万円以上の場合のみです。

上記の例を速算式で計算したら以下のとおりになります。
3,000万円×3.3%+66,000円=1,056,000円

空き家の売買の問題点

あなたが所有する空き家を売却する場合、空き家の近くにある不動産業者等に売却を依頼することになるでしょう。
しかし、不動産業者の反応は素っ気ないものかもしれません。
その理由は、空き家の多くは取引額が低く、報酬が少ないからです。

不動産業者からすると、売るのに時間がかかり、苦労するのが目に見えています。
お得意の折り込みやポスティングによる広告も、ネット広告も、効果は期待できません。
場所が遠いなど手間もかかります。
それで報酬は少なく儲からないのですから、できたら避けたい効率の悪い物件なのです。

国土交通省は、自らが所管する不動産業者(宅地建物取引業者)を空き家対策の担い手として重視しています。
不動産業者の報酬を引き上げることで、空き家の取引に積極的に対応させる方策をとっています。
令和6年7月1日から、取引額が低い空き家に対し、報酬額を改訂し引き上げました。

800万円以下の低廉な空家等の売買の特例

令和6年7月1日から不動産業者の報酬に関する規程が改訂され、800万円以下の低廉な空家等の売買において、

依頼者から受ける報酬の額を、規定に定める通常の報酬額を超えて報酬を受けることができるとされました。この場合、依頼者から受ける報酬の額は30万円の1.1倍を超えてはならないとされています。

令和元年の改正で、400万円以下の低廉な空家等については規定に定める通常の報酬額を超えて受け取れるようになっていましたが、上限が18万円の1.1倍、かつ空き家所有者である売主からだけ上限を超えて受け取れるというものでした。

今回の改正で、上限額は30万円の1.1倍に引き上げられ、さらに買主からも同じように30万円の1.1倍を上限として報酬を受け取れるとされました。
ただし、媒介契約を締結する際、30万円の1.1倍の報酬額を受け取ることを依頼主に説明し、合意を得る必要があります。

800万円以下の空き家の売買を仲介した場合、売主と買主の双方から両手で報酬を得た場合、最大で66万円受けとれることになります。
これにより、不動産業者が空き家の売買に積極的に動くことが期待されます。

参照

宅地建物取引業法 第四十六条
(報酬)
第四十六条 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。
2 宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。
3 国土交通大臣は、第一項の報酬の額を定めたときは、これを告示しなければならない。
4 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、第一項の規定により国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。

宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額
(昭和四十五年十月二十三日建設省告示第千五百五十二号)
最終改正 令和六年六月二十一日国土交通省告示第九百四十九号

第一 定義
この告示において、「消費税等相当額」とは消費税法(昭和六十三年法律第百八号)第二条第一項第九号に規定する課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する金額をいう。

第二 売買又は交換の媒介に関する報酬の額
宅地建物取引業者(課税事業者(消費税法第五条第一項の規定により消費税を納める義務がある事業者をいい、同法第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)である場合に限る。第三から第五まで、第七から第十まで及び第十一①において同じ。)が宅地又は建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買又は交換の媒介に関して依頼者から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。)は、依頼者の一方につき、それぞれ、当該売買に係る代金の額(当該売買に係る消費税等相当額を含まないものとする。)又は当該交換に係る宅地若しくは建物の価額(当該交換に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該交換に係る宅地又は建物の価額に差があるときは、これらの価額のうちいずれか多い価額とする。)を次の表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に同表の下欄に掲げる割合を乗じて得た金額を合計した金額以内とする。

二百万円以下の金額         百分の五・五
二百万円を超え四百万円以下の金額  百分の四・四
四百万円を超える金額        百分の三・三

第三 売買又は交換の代理に関する報酬の額
宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買又は交換の代理に関して依頼者から受けることのできる報酬の額(当該代理に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)は、第二の計算方法により算出した金額の二倍以内とする。ただし、宅地建物取引業者が当該売買又は交換の相手方から報酬を受ける場合においては、その報酬の額と代理の依頼者から受ける報酬の額の合計額が第二の計算方法により算出した金額の二倍を超えてはならない。

第四 貸借の媒介に関する報酬の額
宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)の合計額は、当該宅地又は建物の借賃(当該貸借に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該媒介が使用貸借に係るものである場合においては、当該宅地又は建物の通常の借賃をいう。以下同じ。)の一月分の一・一倍に相当する金額以内とする。この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除き、借賃の一月分の〇・五五倍に相当する金額以内とする。

第五 貸借の代理に関する報酬の額
宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の代理に関して依頼者から受けることのできる報酬の額(当該代理に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)は、当該宅地又は建物の借賃の一月分の一・一倍に相当する金額以内とする。ただし、宅地建物取引業者が当該貸借の相手方から報酬を受ける場合においては、その報酬の額と代理の依頼者から受ける報酬の額の合計額が借賃の一月分の一・一倍に相当する金額を超えてはならない。

第六 権利金の授受がある場合の特例
宅地又は建物(居住の用に供する建物を除く。)の賃貸借で権利金(権利金その他いかなる名義をもってするかを問わず、権利設定の対価として支払われる金銭であって返還されないものをいう。)の授受があるものの代理又は媒介に関して依頼者から受ける報酬の額(当該代理又は媒介に係る消費税等相当額を含む。)については、第四又は第五の規定にかかわらず、当該権利金の額(当該貸借に係る消費税等相当額を含まないものとする。)を売買に係る代金の額とみなして、第二又は第三の規定によることができる。

第七 低廉な空家等の売買又は交換の媒介における特例
低廉な空家等(売買に係る代金の額(当該売買に係る消費税等相当額を含まないものとする。)又は交換に係る宅地若しくは建物の価額(当該交換に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該交換に係る宅地又は建物の価額に差があるときは、これらの価額のうちいずれか多い価額とする。)が八百万円以下の金額の宅地又は建物をいう。以下同じ。)の売買又は交換の媒介に関して依頼者から受ける報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)については、宅地建物取引業者は、第二の規定にかかわらず、当該媒介に要する費用を勘案して、第二の計算方法により算出した金額を超えて報酬を受けることができる。この場合において、当該依頼者から受ける報酬の額は三十万円の一・一倍に相当する金額を超えてはならない。

第八 低廉な空家等の売買又は交換の代理における特例
低廉な空家等の売買又は交換の代理については、宅地建物取引業者が依頼者から受けることのできる報酬の額(当該代理に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)は、第三の規定にかかわらず、第七の規定により算出した金額の二倍以内とする。ただし、宅地建物取引業者が当該売買又は交換の相手方から報酬を受ける場合においては、その報酬の額と代理の依頼者から受ける報酬の額の合計額が第七の規定により算出した金額の二倍を超えてはならない。

第九 長期の空家等の貸借の媒介における特例
長期の空家等(現に長期間にわたって居住の用、事業の用その他の用途に供されておらず、又は将来にわたり居住の用、事業の用その他の用途に供される見込みがない宅地又は建物をいう。以下同じ。)の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受ける報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において同じ。)の合計額については、宅地建物取引業者は、第四の規定にかかわらず、当該長期の空家等の借主である依頼者から受ける報酬の額が当該長期の空家等の借賃の一月分の一・一倍(居住の用に供する長期の空家等にあっては、当該媒介の依頼を受けるに当たって当該借主である依頼者の承諾を得ている場合を除き、〇・五五倍)に相当する金額以内である場合に限り、当該媒介に要する費用を勘案して、第四の規定により算出した金額を超えて、当該長期の空家等の借賃の一月分の二・二倍に相当する金額を超えない範囲内で報酬を受けることができる。

第十 長期の空家等の貸借の代理における特例
長期の空家等の貸借の代理については、次に掲げる報酬の額(第二号にあっては、その合計額)は、第五の規定にかかわらず、当該長期の空家等の借賃の一月分の二・二倍に相当する金額以内とする。
一 宅地建物取引業者が当該長期の空家等の貸主である依頼者から受けることのできる報酬の額(当該代理に係る消費税等相当額を含む。次号において同じ。)(当該貸借の相手方から報酬を受ける場合を除く。)
二 宅地建物取引業者が当該代理に係る貸借の相手方から報酬を受ける場合におけるその報酬の額と代理の依頼者から受けることのできる報酬の額の合計額(当該長期の空家等の借主である依頼者から受ける報酬の額が当該長期の空家等の借賃の一月分の一・一倍に相当する金額以内である場合に限る。)

第十一 第二から第十までの規定によらない報酬の受領の禁止
①宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関し、第二から第十までの規定によるほか、報酬を受けることができない。ただし、依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額については、この限りでない。
②消費税法第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務を免除される宅地建物取引業者が、宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関し受けることができる報酬の額は、第二から第十までの規定に準じて算出した額に百十分の百を乗じて得た額、当該代理又は媒介における仕入れに係る消費税等相当額及び①ただし書に規定する額を合計した金額以内とする。

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